ロオジェ(フランス料理)


ロオジェ ◆場 所(中央区銀座7−7−5)
地下鉄銀座駅は出口がいくつもあるので、数寄屋橋交差点のソニービルからの行き方を説明します。ソニービルから晴海通りを銀座4丁目交差点方向に向かいます。二つ目の角のビルを右に曲がり、今や高級ブランド通りになった並木通りに入ります。並木通りを新橋に向かって300m位進んだ、通りの右手のビルの1Fにレストランの入口があります。並木通りの入口から徒歩5〜6分程度です。地下鉄新橋駅から歩いても5〜6分程度です。
地図はこちらです。


◆最寄り駅
地下鉄 丸ノ内線・日比谷線・銀座線 銀座駅

◆電 話
03−3571−6050

◆営業時間
ランチタイム   12:00〜14:30(L.O.)
ディナータイム  17:30〜21:30(L.O.)
   日曜・祝日休み(パーティの利用可)

◆雰囲気
場所を銀座通り沿いの資生堂パーラービルから、並木通り沿いの資生堂本社ビルの1Fと2Fに移動し、2年ぶりに営業を再開(99年10月)した最高級フレンチレストラン(グランメゾン)です。写真のように、高級ブランドショップが並ぶ並木通りでもひときわ目立つファサードは華麗にライトアップされていていて、通りから両サイドにトピアリーのある植え込みのあるアプローチを歩いて行くと、ドアマンが玄関で丁寧に迎えてくれるという、ヨーロッパの小さな高級ホテルのような雰囲気を持ったエントランスです。

大きな重々しい自動回転扉からレストランに入ると、玄関ホールには、右手にソファを置いた小さなコーナー(このコーナーとレセプションとは、床に段差があるので、注意が必要です。)があり、待ち合わせに利用することができます。入るとすぐ正面にレセプションがあり、ここで予約のチェックとコートや手荷物を預かってくれます。玄関ホールには小人数用のクラシックなデザインのエレベーターがあり、エレベーターの周囲には、螺旋階段があります。玄関ホールは床が厚手の絨毯で、インテリアは意外とシンプルですが、モダンで落ち着いた雰囲気です。
1Fにはダイニングルームはなく、2Fのダイニングルームへ行くには、エレベーターか螺旋階段を利用します。白大理石を床に使い、黒い金属の曲線模様の手摺りのついた螺旋階段は、タイユバン・ロブションのシャトーのルイ王朝様式のクラシックなインテリアとは全く異なる独特の雰囲気で、曲線を描いたガラスの壁には照明が組み込まれ、壁全体が照明で光り、中央にはシースルーのエレベータの黒い骨組みが見えるという、モダンで近未来的でありながら、どこかアールデコ時代のレトロな雰囲気(階段の手摺とエレベーターのデザインにその雰囲気が漂っています。)もする斬新なインテリアです。
階段を上がるにつれて、「いったいダイニングルームはどんなインテリアなのだろう。」という期待を、いやがうえにも高めてくれます。ぜひおしゃれして出かけましょう。非常に残念なのは、1Fには待ち合わせのスペースがありますが、ウェイティングバーがないことです。グランメゾンですので、是非スペースを拡張して設けてもらいたいものです。

階段を上って2階に着くと、ソファが置いてある階段ホールがあり、右手にダイニングルーム、左手にはエレベーターの昇降口、レストルーム(男性用・女性用のニ室)、個室が並んでいます。 ロオジェ ダイニングルームに入ると、コンテンポラリー・アールデコの空間とでも呼びたい、洗練を極めた大人の空間が広がっています。日本のグランメゾンには珍しい、モダンで知的かつおしゃれなインテリアです。フランス人デザイナーが担当したというインテリアは、螺旋階段のインテリアでも感じられたように、極めてモダンでありながら、アールデコの雰囲気を取り入れ、色の使い方も上品で、落ち着いた空間にまとめています。30席ほどの席数の空間はほぼ長方形で、サービススタッフは右手奥から出入りしています。ジャック・ボリー グランシェフも、そこから時々姿を見せてくれます。壁は所々落ち着いたダークブラウンの木を使い、床は紫にオレンジの幾何学模様の厚手の絨毯です。壁沿いのベンチシートの奥は飾り棚になっていて、クリスタルガラスと組み合わせたブロンズ像が等間隔に置いてあり、下からハロゲンランプの照明でライトアップしています。また壁にはモダンアートも飾ってありました。
テーブルなどの配置ですが、入口から見て、正面奥と右手にベンチシートが配置され、中央に配膳台、円形テーブルが並んでいます。通路幅は、とても広く、隣のテーブルとの間隔は、ベンチシートの席でもゆったり取っていますので、落ち着いて食事が楽しめます。
椅子はとてもしっかりした造りで、ベンチシートも含めてグレーがかった薄いグリーン色のレザーをファブリックに使っていて、椅子の方は肘掛もあります。テーブルも金属脚の重量感のあるしっかりしたものでした。

照明は天井の一部を一段高くして、大きな間接照明とし、周囲には壁に沿ってハロゲンランプのダウンライトがあり、テーブルをライトアップしています。効果を計算したのかわかりませんが、このランプのために、グラスの液体に当たった反射光が天井に美しくゆらいで見えます。壁には光の漏れが美しいシェードのブラケットも使っています。単に全体を明るくするようなフラットな照明ではなく、光の効果を十分に生かした上品な照明で、テーブルの上の明るさも申し分なく、料理の盛りつけが映えます。またグランメゾンにしては珍しく、静かな音量でモダンジャズのBGMが流れていました。

テーブルウェア関係は次の通りです。テーブルクロスは、下に薄いグリーンのクロス、上にフランス D・ポルトーのロオジェのロゴ入りのクリーム色のクロスの二枚重ねで、テーブルの脚がほぼ隠れる長さです。ナプキンはクリーム色の大型サイズの刺繍入りで、これもロゴが入っています。食器はリモージュのベルナルド(タイユバン・ロブションも同じです。)、カトラリーはフランスの高級銀器 ピュイフォルカで、照明で光輝いていました。グラスとワイングラスは、佐々木硝子の特別注文生産品で、ワイングラスは容量も大きく、香りを十分楽しめます。またテーブルにはプティフラワー、塩、胡椒入れも置かれていました。

レストルームは、階段ホールに男性用、女性用の二室あります。男性用でもスペースは広く取られていて、ここもコンテンポラリーなアールデコ風のインテリアで、モダンでシンプルですが、高級感があります。衛生陶器は外国製(洗面器とユニークなデザインの水洗金具は、USA コーラー)で、洗面カウンターには、上質な石鹸、ハンドタオル(フランス D・ポルトー)、ティッシュペーパー(容器はアルミ?製のシンプルなもので、デザインテイストは揃うかもしれませんが、それほど高級感は感じませんでした。)、灰皿の用意がありました。照明はハロゲンランプのダウンライトで明るく、ここでもモダンジャズのBGMが静かな音量で流れていました。

ロオジェ サービスに関してですが、まず電話予約時の丁寧でしっかりした応対、要望に迅速に対処する姿勢が好印象に残りました。人により個人差はあるでしょうが、電話予約時の印象が良いと、レストランへの期待を増してくれます。
入店から席につくまでは、非常にスムーズな出迎えと案内で、ダイニングルームに入ると、スタッフから笑顔で迎えられ、気持ち良く席につくことができました。料理やフロマージュに関する質問にも丁寧に答えてくれ、料理の出される間隔もちょうど良く、常に笑顔で接してくれるのは、大変心地よく感じます。少し気になったのは、お客様とのコミュニケーションを重視しているためか、多少テーブルの目配りが不足するように感じることがありました。
出店時は1Fまでエレベータでスタッフと一緒に降りて、コートを着る手伝いをして、丁寧に見送ってくれるなど、最後まで気持ち良くレストランを後にできました。
デセール時にはスイートワインをサービスしてくれるなど、現在でも細かい配慮のある、おだやかで温かみのある上品なサービスは、高い水準であることは間違いなく、サービススタッフの人数も十分ですので、常に日本で一番と言われるようなプロフェショナルなサービスを、今後も期待したいと思います。

◆価 格
ランチ
 ¥4,800
  (前菜ニ品、主菜、デセール、コーヒー、プティフール 税・サービス料別)
 ¥7,500
  (前菜、魚料理、肉料理、デセール、コーヒー、プティフール グラスワイン付き 税・サービス料込み)
ディナー
 ¥14,000
  (アミューズ、前菜、魚料理、肉料理、フロマージュ、デセール、コーヒー、プティフール 税・サービス料別)
 ¥25,000
  (アミューズ、前菜、魚料理、肉料理、フロマージュ、デセール、コーヒー、プティフール
    食前酒・ハーフボトルワイン付き 税・サービス料込み)
 アラカルトもあります。
  アラカルトの主な価格帯
   前菜 ¥3,000〜¥7,000/スープ ¥2,500前後/魚・肉料理 ¥6,000〜¥9,000
   季節のサラダ ¥1,500/フロマージュ ¥1,800/デセール ¥2,200
    サービス料 12%

◆料 理
料理はオーソドックスな味わいに、シェフの新しいアイデアを加えた、グランメゾンに相応しい充実したものでした。素材の良さ、火入れの良さは勿論のこと、素材や味の組合せ方にいろいろ発見することが多く、とても水準が高いと思いました。量的にも普通の人には十分すぎるほどで、あまり食事中にパンを食べ過ぎると、フロマージュとデセールを楽しめなくなる恐れがあります。

アミューズ・ブーシュは、鮪に軽く火を通したものですが、非常に上質なトロを使っていて、火入れの具合、オリーブオイルを使ったソースの質の高さ、付けあわせの野菜との相性、塩加減など、すべて完璧と言っていいほどのものでした。

前菜の『鵞鳥のフォアグラのテリーヌ パン・ド・カンパーニュ添え』は、オーソドックスな料理ですが、これ以上は望み得ないほどの質の高い鵞鳥のフォアグラで、付け合せの軽くトーストしたパン・ド・カンパーニュといちじくの上品な甘さとの相性は抜群です。アラカルトでもっと分厚いテリーヌを食べたくなります。

魚料理の『ブルターニュ産オマール海老のフリカッセ コライユソース セロリのピューレ添え』は、オマール海老の火入れが、これまた抜群で、プリプリした食感を感じさせるオマール海老とオレンジの風味を纏ったコライユソースとの組合せが印象的です。少し塩気を残したオマール海老にもオレンジ風味を効かせてあり、オマール海老自身の甘さが引き立ちます。セロリのちょっとクセのあるピューレを添えたのもユニークです。

肉料理の『ゆっくり煮込んだ仔鴨をヌイユで包んだミトネ ジロール茸とサラダ添え』は、3種類の調理法で仕上げたバルバリー種の鴨の味を楽しめる一品です。ゼラチン質を残し、よく煮込んだ鴨肉をパスタで巻いたもの(写真一番奥の緑色のパスタ)、コンフィとは思えないほど、塩気を抑えてエレガントに仕上げた鴨肉(写真中央)、こってり感を抑えたフォアグラ(写真手前)が一皿の上でマリアージュします。どこか中華風な味付けを思い出させる料理で、後々まで印象に残る料理でした。

フロマージュの品揃えは15種類で、フェルミエとパリのマリアン・カンタンから仕入れています。ロックフォール、エポワース、ブリドモーなどの有名なフロマージュは勿論のこと、各タイプ2〜数種類は揃えていて、保存・熟成状態も良く、お好きなだけ選べますので、フロマージュ好きには堪えられないでしょう。レーズン、クルミ入りなどのフロマージュと相性の良いパンもサービスされますので、赤ワインを残しておいてください。

デセールは、コースの場合、シャリオからのお好みのデセールになりますが、アラカルトの場合は、スフレやミルフィーユなどの皿盛りのデセールもありました。シャリオには、10種類弱のパティスリーと2〜3種類のシャーベットやアイスクリームが用意してあり、お好きなものを、お好きなだけ選べます。
シャリオが来るのが遅れそうということで、写真のデミタスカップに入ったカスタードクリームが、先にサービスされました。クリームの下には、黒々と言いたいほどバニラビーンズが入っています。
どのパティスリーも上品な甘さ、材料の質の高さが印象的で、カシスのシャーベットは、ものすごくジューシーで、その凝縮された果実味は、シャーベットとは思えないほどです。なおパティスリーに関しては2Fの厨房でなく、1Fのデセール専用の厨房で調理されるようです。

パンは、栗のペーストを練りこんで焼き上げた甘目のもの、クルミとレーズン入り、ミルクを練りこんだものなど、数種類用意してあります。フランスのレストランのように特に温めてはいませんが、どれも美味しくとても楽しめます。特に栗のペーストが入ったパンは、少し粘り気のある食感で、それ自体で美味しくて、食事の邪魔をしてしまいそうです。どのパンもバターを必要としません。

食後の飲み物は、エスプレッソ、コーヒー、紅茶などが選べ、プティフールもサービス(プティフール用にフィンガーボールも用意してくれるのは、とても親切です。)されます。なかなか香り高いコーヒーでしたが、ミルクはかなり冷たいままでサービスされました。

ワインの品揃えに関しては次の通りです。ボルドー赤が、1・2級各付けシャトーのヴィンテージの異なるものを豊富に揃えて100種類以上(中心価格帯は¥20,000〜¥30,000)、ブルゴーニュ赤がグランクリュ・プルミエクリュを中心に100種類位(中心価格帯は¥15,000〜¥25,000)、その他の地方の赤も数十種類(中心価格帯は¥8,000〜¥20,000)、白ワインはブルゴーニュを中心として100種類弱(中心価格帯は¥8,000〜¥30,000 ボルドー白も珍しく二十数種類はありました。)、シャンパーニュも各有名銘柄を網羅した、グランメゾンに相応しい充実した品揃えです。貴重なヴィンテージのボルドー1・2級シャトーなども品揃えは充実していて、この中心価格帯からかなり外れた高価なワインも多く、その分¥10,000以下のワインは、かなり少なくなっています。

◆その他の情報
6〜10名が利用できる個室があります。パンフレットによると、室料は無料です。
車で行く場合、一般の人も利用できる駐車場があり、駐車券のサービスがあります。
ロオジェは「柳」という意味で、昔から歌に歌われた「銀座の柳(近年、銀座の通りの一部で復活しました。)」にちなんで名づけられた、粋な名前です。

   資生堂 ロオジェのページへ




   銀座・日比谷・日本橋地区のページへ   東京いい店真っ当な店?へ